「要約筆記クラブとして考えること」

せとうち要約筆記クラブ 為房悦子

 コロナ禍が落ち着き色々な制限も外され、行政からの派遣依頼も増えてきました。意思疎通支援事業については市の必須事業であり福祉課と当クラブとの委託契約にて対応する個人派遣、団体派遣のみならず、他の課からの依頼が数年前から少しずつ増えています。依頼をいただいた時には要約筆記についての派遣依頼の流れなどをまとめて記載した説明書をお渡しし、ご理解いただいた上で派遣依頼を頂戴しています。
派遣現場に同じものはなく毎回最善の要約筆記を行うために頭を悩ませながら対応しています。メンバー同士で経験を積みながら様々な課題を克服していけた部分も多いと感じています。社会情勢の変化に伴ってパソコン要約筆記が主流になっているところも多いと聞きますが、当クラブは手書き要約筆記ですべてに対応しています。勿論、派遣の内容によっては手書き対応ではなくパソコン要約筆記のほうが最適と思われるものについては「県要連に相談してコーディネイトをしてもらってください」とお願いする場合もあります。あくまでも適材適所をまず考えて情報保障に対応しています。
 最近の派遣現場での問題点として環境設定への対応をしっかりと考えないといけないということが出てきました。いまさらですが機材を設置すればよいというのではなく、スクリーンの位置、機器、椅子の位置、高さ、ロールの引き手から見るスクリーンの位置等。理解しているはずなのに後から反省点も出てきます。主催者が設置してくださることもありますが、不具合を感じた時には主催者に説明し設置場所の変更をさせていただくこともあります。会場に機器を搬入したところから要約筆記の活動は始まっています。環境設定には細かなことにも十分注意し最善を尽くすようにしています。
 当クラブの学習会のこと。例会においては学習担当を決めて一時間ほどの学習を行います。派遣についての気づきや反省、課題などフィードバックを重ねながら今後の派遣をスムーズによりよくするための討議を重ねています。行政の要約筆記に対する認知度は?と聞かれたらどう答えるのが適切かわかりませんが少しづつ向上していますと思いたいです。当クラブだけでなく瀬戸内市に在住の難聴者で作っている「せとうち難聴者の会」の皆様方の啓発活動や努力のおかげだと思っています。今後も協力し合いながら意思疎通支援事業がもっと多くの中途失聴者、難聴者に利用していただけるようにしていきたいです。そして私たち要約筆記者も利用したすべての人たちに使ってよかったと思っていただけるよう、しっかりと研鑽を積んでいきたいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。