難聴者の趣味

難聴者の趣味

         公益社団法人岡山県難聴者協会会長 妹尾克己

 新年度を迎えて何か巻頭言を書かなければならなくなりました。年度初めの所感といったものを書けばいいのですが、堅いことばかりでは読みづらいのではと思うので、思案の末、「難聴者の趣味」について書くことにしました。

 私自身は全くの無趣味人間ですが、「あなたの趣味は何ですか」と問われて、学生の頃は「読書」と答えていました。岡山に戻ってからは 海釣りに連れていってもらったのをきっかけに、磯釣りをするようになり、すっかりのめり込んで、「趣味は釣り」と答えられるものになりました。しかし最近は釣りにはほとんど行かなくなってしまいました。(原因は釣れないから。児島湾周辺からお魚さんは消えてしまったのかと思うくらい、私には釣れなくなったのです。)定年後の今は野菜作り(というより実態は草取りですが)か、卓球ではないかと思っています。

 難聴の友人知人の顔を思い浮かべながら、あの人の趣味は・・・と思い浮かべていくと、次のようなものが挙がりました。釣り、登山、映画鑑賞、園芸、写真、絵画、読書、活花、手芸、カラオケ、卓球、将棋、囲碁、グランドゴルフ、麻雀、天体観測、・・

 これを見ると、コミュニケーションが複雑にならないものが選ばれている傾向がうかがえます。普段の人間関係コミュニケーションに疲れるのか、一人でできる、一人の世界に浸れるものが選ばれる傾向が強いのではないでしょうか。

 趣味とは、辞書的には「心の向くところ」で、つまり、好きな物や事柄のことですが、中には仕事が趣味とか、生活に困っていて趣味どころではないという方もおられるでしょうが、仕事以外の時間の過ごし方も、寿命が延びて長く生きるようになった現代では大変重要な意味を持つものになってきています。時間も忘れ熱中出来るもの、それがここに言う「趣味」に、さらには「高齢社会を生き抜く」道につながるのではないでしょうか。

 難聴者協会の活動に「趣味」がどうかかわってくるのか、もう少しこのテーマに拘って考えてみたいと思います。皆さんのご意見をお聞かせください。