備前要約筆記クラブ 大西美恵
備前要約筆記クラブでは、備前市からの委託事業として備前市社会福祉協議会が要約筆記奉仕員養成講座とステップアップ講座を隔年で開催してくださっています。
今年度はステップアップ講座です。全5回。
目標は、「語句レベル・文レベルをきたえ、要約力のブラッシュアップを図る」。研修内容は日本語学習、テーマ学習、実習の三本立てでした。
日本語学習では、日常漢字の書き取り、漢字練習、類義語・同義語・関連語・連想語などの書き出し、故事成語の書き取りなどを行い、語彙数を増やす取組をしました。思い出さないと書けない漢字もあり、「う~ん」と言いながら、「要約筆記は頭の体操になるね。」と自己採点しました。
テーマ学習、実習は講師のアイディアと努力が詰まった内容でした。
テーマ学習は、文章超要約。書店で見かける「ポップ」や商品のキャッチコピーは、販売促進のための凝縮された要約と捉え、それをまねて、文章超要約をしました。内容の選択、ふさわしい単語への置き換え、タイトルの設定など、楽しみながら取り組みました。また、四コマ漫画を見ながら、逆要約と称して、起承転結のあらすじ文を書いたりもしました。
実習はできるだけ臨場感のあるもの、現場での実際の話を題材にしたいとの思いから、 講師自身が講演会で聴いた話をメモしておき、自分で文章を組み立て直してカセットテープに吹き込む、文字起こし文を作るなど相当な時間を費やして準備してくれました。
このように日ごろから力をつけるべく研修を重ねている私たちですが、最近は個人派遣がほとんどありません。ですから難聴者の方にお会いする機会もありませんでした。
そのような折、備前市からの派遣依頼で「難聴者のための手話教室」へ行きました。そこには、懐かしい方々が来られていました。
「わあ、久しぶり!」「元気にしとった?」
(←もちろん、ノートテイクで。)要約筆記者も交えておしゃべりに花が咲きました。
以前は要約筆記の例会や交流会に参加してくださっていた難聴者の方も外出しにくくなり、お互い会うことがなくなっていました。私が要約筆記を始めた時からお世話になっているみなさんです。難聴者、要約筆記者の垣根を越えて一緒に活動してきました。そうそう、これが要約筆記者としての醍醐味!目の前に難聴者の方がいらっしゃって要約筆記をする、当たり前だけどこの感じ。役に立っていると実感できる!手話教室では、ちらちらと文字を見ながらうなずいてくださいます。「今日はありがとう。要約があったからよくわかったわ。」要約筆記をしていてよかったと思う瞬間です。

