「真庭要約筆記サークルの今」

真庭要約筆記サークル 梅井寿子

 2月初めには要約筆記体験会を開催する予定でしたが、あいにくの大雪警報発令で中止となってしまいしました。当日に向けての呼びかけもしっかりしてきていたので5名の参加申し込みがありましたが残念なことでした。要約筆記のことを一人でも多くの人に理解して頂けることを期待していました。当サークルには現在10名の会員がいますがここ何年も会員が増えず高齢化もしており、これから先の担い手不足に悩んでいます。実質的に活動に携われる人はそのうちの8割。現場が重なった時には3名での通訳活動になることもあります。勉強会のある度に今後はどうしたらよいのかという話題になりますが妙案は出てきません。岡山市で開催される岡山県要約筆記者養成講座への参加も時間と距離を考えると一歩が踏み出せないという方もいらっしゃいます。真庭市から講習会への参加のための助成金制度も整えていただきましたが有効に活用できていないのが現実です。今現在は限られた人員でやれていますが今後のことを考えると厳しい状況になっていくと思います。真庭要約筆記サークルは手書き対応しかしていません。パソコン要約筆記にすれば伝えられる情報量も増えるし、年齢と共に文章の再構築がうまくできない、漢字が浮かばないということも少しは解決されるのではないかと思うこともあります。機器に慣れている若い人にも受け入れてもらいやすいのではないかと思い、平素からパソコンを使っての業務に携わっている人にパソコン要約筆記を勧めてみました。しかし、逆に手書き要約筆記の良さをアピールされました。紙とペンがあれば、いつでもどこでも利用者の立場に立って臨機応変にできるのが手書きでしょう!と言われました。他のメンバーも同じ考えでした。

 SDGsが謳われ、誰ひとり取り残さない共生社会の実現が目標とされています。健常者も障がいのある人も同じように楽しんで社会生活ができたらいいなと思います。何年か前に手話でお芝居をする劇団の公演を観る機会がありました。役者は普通に台詞をしゃべり、そのそばで黒子の通訳士が手を振り、舞台のほぼ中央に背景にはめ込んだように電光掲示板で台詞が表示されていました。ある劇団では、チラシに聴覚障害者には前もって台本を貸してくれることも書いてありました。少しの配慮で、楽しめる方法はあるのだと気づかされました。利用者に寄り添える要約筆記者でありたいと思いながらこれからも精進していきたいと思っています。