令和3年度を振り返って

令和3年度を振り返って
高梁要約筆記サークル 佐藤千代子
                           
 昨年度も新型コロナウィルスの感染拡大が終息せず要約筆記の全体投影での依頼はありませんでした。多くの人たちが集ってのイベントが開催されない状況下では仕方がないことです。しかし、個人の人が利用されるノートテイクに関しては依頼をいただき対応いたしました。その際には感染予防のため二重マスクやフェイスガードの着用に心がけ通訳業務に臨みました。早くコロナの流行が収まることを祈ります。
 そんなコロナ禍の中でも新しい仲間が2名誕生いたしました。このような社会状況であっても毎月定例の勉強会を開催しています。その勉強会にこの2名の人が参加し共に学びを深めているところです。2人は今のところ要約筆記奉仕員ですが令和4年度より奉仕員としての活動に関わって頂けることになりました。要約筆記者登録試験にも挑戦下さる意思をお持ちなのでサークル員みんなで応援していきたいと思っています。
 当サークルの勉強会は様々な視点からの取り組みをしています。昨年度のことになりますが、ある日の勉強会に前難聴者協会会長の妹尾克己氏を招き講話をいただきました。幼少からの難聴で色々な場面で不自由なことがあり苦労された経験や、それらの苦労に対してどのように乗り越えてこられたかを事細かにお話しくださいました。妹尾先生が美術館学芸員の仕事をされていた時には電話での交渉も対応しなければならず、静かな時に電話をかけたり、聞き取りにくい時には同僚に代わって貰ったりと大変だったそうです。展覧会開催に向けて時には海外に出向いての交渉もあり、外国語の飛び交う中での業務は、私たちが想像するよりもはるかに大変なご苦労があったのだろうと実感しました。講話の最後に要約筆記という福祉サービスの制度を知らない人が沢山いるのでもっと知っていただくためのアピールが必要だとおっしゃっていました。まさに同感でした。近年はテレビでの字幕表示も普通になってきているので、筆談も一般的になっていけばよいと話され「筆談を文化に!」と持論を話してくださいました。要約筆記者の対人支援は難聴者にとって必要であり社会参加のために大きな力になりますと言われました。講話をお聞きし要約筆記者として役に立つ技術の研鑽に励まなくてはと強く感じました。難聴当事者からの講話は私たちに前向きに活動に関わっていこうという力を与えてくださり意義ある時間でした。
昨年の12月高梁市定例議会においてサークルの賛助会員でもある市議の金尾恭士さんが聴覚障害について一般質問されました。公共施設に耳マーク、筆談ボードを設置すること。ケーブルテレビの行政放送に字幕を付けること。公共イベントの講演会等に要約筆記が付く時にはチラシに「要約筆記付き・手話付き」と入れることを要望し、中途失聴・難聴者の社会参加の後押しをするよう提案されました。私たちにとって大きな勇気を与えてくださる行動に敬意と感謝の気持ちで一杯です。少人数のサークルですが人の手が足りない時は県要連の支援を頂きながら運営しています。派遣の時、ステップアップ研修会の時など気がねなく応援をいただけ本当に助かっています。今後もご尽力宜しくお願い致します。