岡山県聴覚障害者センター 所長 西條 保幸
電話リレーサービスが公共インフラとして整備されてから3年半経過しましたが、2025年1月23日から、相手の声が読める電話「ヨメテル」が新たに加わります。
従来の電話リレーサービスは、利用者が用件を伝えるために手話か文字入力が必要でした。自分の声で用件を伝え、相手の声が文字で返ってくる「ヨメテル」では、会話のタイムラグが縮小し、リアルタイムに近い形での通話が可能になるとされています。また、身体障害者手帳の有無にかかわらず、「電話で相手先の声が聞こえにくいことがある方」にご利用いただけるサービスとなっています。
スマホにアプリをダウンロード後に登録し、オンラインで本人確認・認証が取れれば、すぐにヨメテル用電話番号が発行されます。音声電話を使用する相手側での手続きは不要で、通常の電話と同じように受発信できます。相手先から電話があった場合、従来の電話リレーサービスに繋がるのか、ヨメテルに繋がるのか、リリース後の情報を待ちたいと思いますが、ヨメテル利用者がどちらのサービスで着信を受けたいかを選択できるようになるとのことです。手続きをすれば、電話リレーサービスとヨメテルを同じ電話番号にすることも可能なようです。
このサービスを利用して発信すると、先ず通話相手に「電話リレーサービスのヨメテルです。あなたの声を文字にして相手に表示します…」といった音声ガイダンスが流れます。その後、利用者は自分の声で用件を伝え、相手からの音声が文字に変換されて画面に表示されるという流れになります。相手の声を聞くこともできます。文字の表示方法は、AI(自動音声認識)と文字入力オペレータ(人による文字入力)を選択することができます。通常はAIに設定されていますが、文字入力オペレータを希望する場合は、ダイヤル画面で変更できます。AI(自動音声認識)は表示スピードが速く、文字入力オペレータは固有名詞などがより正確だという利点があります。ただ、残念ながら、通話途中での変更は出来ません。
気になる利用料金ですが、現状の電話リレーサービスと同じだそうです。また、110や119などの緊急通報も可能になっています。さらに、ヨメテル同士の通話も可能です。
全国からおよそ500名の方々がモニターとして参加した試用期間中、文字起こしの質、設定変更・通話履歴などのアプリの様々な機能が使いやすいかなどが確認されました。1月20日現在、ヨメテル特設ページでは、サービス提供開始までのカウントダウンは進んでいますが、公式サイトへのアクセスはまだできません。
新しい電話リレーサービス「ヨメテル」が、中途失聴・難聴者をはじめ、電話で相手の声が聞きにくいと思われている全ての人々の救世主になってくれることを期待して、リリースの日を楽しみにしたいと思います。
「ヨメテル」は1月23日(木)運用開始です。