平成28年6月号巻頭言

避難と福祉避難所

NPO法人全国要約筆記問題研究会 岡山県支部 支部長 田島陽一郎

 2016年4月より要約筆記者の全国組織であるNPO法人全国要約筆記問題研究会の岡山県支部長となりました田島です。宜しくお願い申し上げます。
 さて、4月に発生した熊本地震は大きな被害が出ましたが、避難者数も相当数でした。発生当初の避難者は約18万3千人。この原稿を書いている5月18日時点では約9800人が避難生活を続けられているそうです。「日本で補聴器を日常的に使用する人の割合が約十四%」と毎日新聞の記事で全難聴の新谷理事長が答えていることから、5月18日時点で約1300人が補聴器を日常的に使用されていることになります。もちろん全員に要約筆記や手話といった情報保障が必要というわけではないですが、地震発生から一ヶ月経った段階でも支援を必要とされている方がいることを忘れてはならないと思いました。
こうした状況の中で災害発生時に設置される福祉避難所について色々な課題が表面化してきています。福祉避難所とは介護が必要な高齢者や障がい者、妊産婦といった方々が避難できる場所で、2016年4月17日に内閣府が公表した「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では「福祉避難所における要配慮者への支援」の中で「福祉避難所において、要配慮者のニーズを把握し、適切に対応できるよう手話通訳者、要約筆記者、点訳ボランティア、音訳ボランティア等の人材の確保や福祉用具等の確保を図る」という記載もあります。当然ながら岡山県でも設置予定です。このように制度としては整っているのですが、実際に運営となると様々な課題があるようです。そもそも福祉避難所の存在が十分に知られていないという声もあがっています。この度の熊本地震を受けて制度の趣旨に沿って円滑に運営がされるように県難聴はもちろんのこと、関係団体の皆様と関係を作っていきたいと考えております。