『岡山難聴』平成28年1月号 巻頭言『新年のごあいさつ』

 明けましておめでとうございます、加盟協会の皆さまには日ごろから様々な面で全難聴の活動を支えていただき、お礼申し上げます。 
 昨年は障害者差別解消法の施行を控えて、各省庁での対応要領・対応指針の策定作業が行われましたが、厚生労働省の福祉事業者向け対応指針はすでに決定・公表されました。残る省庁の要領・指針も新年早々には最終決定がなされるものと思います。
障害者差別解消法の施行が始まりますと、私たちが従来利用してきた福祉サービスの或るものは、合理的配慮・環境整備として福祉サービスから切り離される可能性が出てきます。一方、合理的配慮は障害当事者の申し出が原則となっていますので、私たちの方から配慮を要求しない限り必要なサービスが提供されない恐れがあります。差別解消法の下では、私たちが自分たちの権利を自覚的に行使しないとかえって受ける社会サービス・福祉サービスが低下する恐れがあることを十分知っておく必要があります。
 また、今年4月には障害者総合支援法の3年後見直しが行われます。様々な議論がありましたが、意思疎通支援事業の個別給付化は見送られ、地域生活支援事業の枠組みの中で手話通訳・要約筆記者の専門性を高める施策が講じられる見通しです。この間、全難聴は全要研と共に「要約筆記事業に関する提言」を発表し、要約筆記事業に関する課題を提起しました。障害者差別解消法施行・障害者雇用促進法改正・障害者総合支援法見直しに伴う要約筆記事業の課題については、1月23,24日滋賀県大津市で開催される「要約筆記事業研修会」でさらに議論を深めたいと思います。是非多くの方の参加をお願いします。
 11月の香川県での全国福祉大会でもお話ししましたが、いま全難聴は組織的に非常に厳しい時期を迎えております。全難聴の組織的危機は、地域加盟協会の危機の表れと考えられます。聴覚障害者の増加にもかかわらず、中途失聴・難聴者の当事者組織への加入がなぜ増えないのか?香川県の福祉大会では①デシベルダウン運動の強化②中途失聴・難聴者の運動の幅、参加する人のウイングの拡大を報告させて頂きました。地域でのデシベルダウンの声を強めて、その主張に幅広い人の賛同・参加を求める活動を改めてお願い致します。
 新年早々、硬い話しとお願いになりました。加盟協会の皆さまにはこの一年お体を大切にご活躍いただき、6月の総会・11月の奈良県での福祉大会で、皆さまの元気な顔を拝見出来ることを楽しみにしております。簡単ですが、全難聴よりの新年のごあいさつとさせていただきます。

一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
理事長 新谷友良