「-提言- これからの協会のあり方」

公益社団法人 岡山県難聴者協会 会長  森 俊己

 岡山県難聴者協会は、昭和44年に任意団体として設立され、まもなく56年になります。
私が入会した頃は多くの難聴会員がおられ、会長の松本翁をはじめとする先輩諸氏の熱意に、大きな影響を受けました。今日、当協会があるのは、先人が築き上げられた礎があってこそと、折りに触れて感じます。そして現在、会長を務める私は、難聴という障害の理解を社会に働きかけることができているか、喫緊の課題といわれている加齢性難聴に対して、私たちができることは何か、そう問いかけながら活動しています。

 超高齢社会を迎え、難聴人口は確実に増加し、全国で1,500万人とも言われています。岡山県においても数十万の難聴者が散在していますが、障害者手帳に該当しない方も多く、その方々は社会福祉サービスの狭間に置かれています。聞こえが十分でないために諦めざるを得ない社会ではなく、聞こえに不安があっても自分らしく生き生きと暮らせる社会であってほしい。岡山県難聴者協会は、そのために必要な取り組みを進めていきたいと考えています。具体的な方針として、以下の4つを挙げたいと思います。

1、当協会が運動体として発展するためには、事務局業務を充実させ、財政基盤を確保する必要があります。社会の共感を得て、一人でも多くの賛同者を獲得すると共に、皆様のご協力をお願いします。

2、広報活動の充実を図り、難聴者、特に若年層に向けての発信に取り組みます。当会の活動について積極的に広報し、新たな賛同者を増やすこと、また「難聴」を知ってもらうための活動に重点を置き、さらなる会員の増強につなげたいと思います。

3、難聴者の「居場所」としての協会づくりを目指します。聞こえない・聞こえにくいということは社会の中で孤立を招きやすくなるだけでなく、生命をも脅かされかねません。聞こえに支障があっても、その人らしく存在することができる、そんな気兼ねのない場所を提供できればと考えます。

4、「難聴」という障害の理解に向けた取り組みを進めます。一概に聴覚障害といっても、聞こえの程度も異なり、コミュニケーション手段もさまざまです。私たちには当たり前のことも、社会に十分認知されているとは言えないところがあります。社会から尊重され自分らしくという願いを実現するために、広報活動と併せて、関係機関に積極的に働きかけていきます。

 取り組みを進めるには、当事者としての「声」が大きな役割を担います。ぜひ、会員の皆さんの声を聞かせてください。役員、事務局まで、忌憚のないご意見をお寄せください。待っています。