一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
理事長 宿谷 辰夫
新年、明けましておめでとうございます。
昨年の冒頭のご挨拶でも触れましたが、入谷仙介・林瓢介の両氏が編者である『音から隔てられて―難聴者の声―』が出版されてから半世紀あまりの月日が経過しました。中途失聴者・難聴者の悲痛な叫びに視線が向けられることもなかった時代に、わが国の難聴者福祉運動の中で生みだされた本であり、入谷氏は「聴覚障害者が人間でありえないような社会は、完全な社会といえない」と指摘しています。
発刊当時、私は中学二年生で、何かと多感で影響を受けやすい時期であったこともあり、難聴者として人生をどのようにして生き抜くかを考える上での大きな転換点となりました。昨年11月に開催した全難聴福祉大会in 函館・北海道の第3分科会(書籍「音から隔てられて」第2弾発行プロジェクトチーム主催)では、この本と巡り合えたことを契機として、孤独で潜められた生活の苦しみから立ち上がりつつ前を向いて歩き始めた人達が、私以外にもたくさん存在していたことを実感しました。
この半世紀の間、我が国は障害者権利条約を批准し、併せて国内法の整備を進めてきました。しかしながら、聴覚障害者、とりわけ中途失聴者・難聴者の存在やコミュニケーション方法、その生きづらさなどについて、社会の中で十分に浸透していない現状にあります。このような現状を踏まえ、昨年9月に岩波書店のご協力を得て、第2弾にあたる『難聴を生きる―音から隔てられて―』の出版が実現しました。聞こえに困っている人たちが暮らしやすい社会になることを願って、今後も多くの人に本を手に取っていただきますよう、各加盟協会において周知いただきますようによろしくお願いいたします。
最後に、全難聴が著作権を有する「耳マーク」も50歳となり、一層の普及を通じて、中途失聴者・難聴者の社会参加の促進が進展することを目標の一つとしています。多くの方々の全難聴への思いが、聞こえの課題克服のストラテジーに繋がり、皆様と共に歩み織りなす道が希望に満ちたものであることを信じています。今年一年皆さまと力を合わせた運動がより一層前進することを期待して、また皆さまのご多幸・ご健康をお祈りして、全難聴よりの新年のごあいさつとさせていただきます。

