要約筆記を始めたきっかけ

倉敷要約筆記サークル
谷口奈保美
                           
 要約筆記を始めたきっかけについて振り返ってみたいと思う。
以前、勤めていたクリニックでは、ホリスティックな(人間を丸ごと全体的に見る)診療を目指し午前中は西洋医学、午後はヒーリングを行っていた。いろいろなセラピーがあり、その中のセラピストが要約筆記を学んでいて、彼の所属する岡山要約筆記クラブへ連れて行ってもらったのが始まりだった。そのころ、要約筆記クラブでは倉敷のプラネタリウムに字幕を付ける活動をしているところで、私も参加させてもらうことになった。ところが、打ち合わせで現地に行ってみると倉敷要約筆記サークルの人たちもいて、そこで初めて倉敷にもサークルがあることを知る。その後、倉敷で講座を受け活動することになったのだが、あれっ?今思い返すと岡山要約筆記クラブの人たちに、ちゃんと挨拶してなかったかも‥失礼したかもしれません。
 要約筆記との出会いは、もう少しさかのぼり、香川県に住んでいた時のことである。クリスマスイベントを中心に手話コーラスの活動をしていた当時、仲間の中に難聴者協会の活動にメラメラと燃えている人がいて、彼女を通して自然と、その活動や要約筆記を身近に感じるようになっていった。その時は講座を受けるには至らなかったのだが、彼女の炎は確実に私の中に飛び火していたんだと思う。彼女はユーモアあふれる人で、FAXのやり取りでは略号(オリジナルもあった)を使い、宛名は名前の音から「田さま」「巣さま」としていた。そして、難聴者協会や全難聴、要約筆記がいかに大事な存在であるかを熱く語り、一緒に参加した福祉大会ではどこへ行っても知り合いがいて、私が初対面であることなど忘れるほど自然とその場に溶け込ませてくれていた。今では年賀状のやりとりぐらいで、あまり連絡は取っていないのだが、久しぶりに手紙でも書いてみようか。