東京パラリンピックリポーター

浅口penpen草
山本茂樹

 北京冬季パラリンピックが3月4日開幕しますが、私は半年前の東京パラリンピックを思い出します。NHK初の試みとして3名の障がい者がリポーターとして採用されていました。その中のお一人に後藤祐季さんがいました。他のお二人は車椅子使用だったり上腕の障がいがあり、テレビでリポートする時に見ていて分かります。後藤さんは健常者かと思うくらい外見からは障がい者だとはわかりませんでした。はきはきしていて的確なリポートでした。彼女は2歳半の時、聴覚障害がわかり9歳の時、人工内耳の手術をされたそうです。経歴を調べるとピアノ、水泳、陸上をするなど凄い人でした。水泳では補聴器を外すため読唇の力を身につけたそうです。大学生の時は講義の度に教授のもとへ行き、聴覚障害者用の補助マイクで講義してもらったそうです。英語を聴く力も身につける努力をしたそうです。しかし、聴きづらくて「見えない障害」である聴覚障害については中々教授からは理解されなかったそうです。そのように熱心で努力家の彼女は英語も堪能で外国人選手のリポートも盛んにしていました。NHKの特設サイトに彼女の聴覚障害とは「人工内耳で聴く」など半年間ありましたが、今は北京五輪のサイトとなっています。現在彼女はラジオ番組や車椅子マラソンのリポーターとして障害者スポーツの発展に貢献しているそうです。
 秒を競う競技も種々ありますが、スタートは音声による合図で難聴者は不利と言われています。そんな中、唯一のスポーツにボート競技があります。私も選手、監督、審判員として長年この競技に関わってきましたが、審判はスタート時「GO!」と号令を出し、同時に掲げた旗を振り下ろします。2つの合図で難聴の人は音が聴きづらくても、旗が動いたらスタートできる競技です。聞こえにくい選手たちは様々な障壁を乗り越えて競技に取り組んでいます。今後も障がい者のスポーツ参加者は増加することと思われます。不利にならないよう改善され、誰でもが楽しめるスポーツになるよう願っています。
 協会には難聴者の人たちが楽しんでいる卓球のグループもあるようです。お聞きすると沢山の人たちが熱心に毎週集って汗を流し交流を深めていらっしゃるとか。参加もよし、観戦もよし、色々な形でスポーツを楽しんで参りましょう。