コロナ禍の中で

たまの要約筆記サークル
赤代洋江

 コロナ、コロナで随分と日がたった。アルファ、ベータ、はたまたオミクロンとなじみのない記号も日常の言葉となってしまった。こんなことが自分の一生の間に起こるとは想像もしていなかった。お金さえ払えば宇宙に行ける時代に、目に見えない小さなものに振り回されるとは。ヒトが一番優れてると思っていたが違うと突き付けられているような気がする。自分の体だと思っていたが遺伝子を伝えるだけにすぎないのか。何が優れている?命とは?などと考えさせられた2年だった。
 小学校が自宅近くにある。子どもの数が減ってしまい登下校時に見る姿も少なくなった。たまに出会っても、マスクをつけてうつむき加減のように見える。「おはよう」「おかりなさい」と声をかけると返事がありほっとする。鬱陶しいのは皆同じ。カラ元気でもいいから、今は精一杯元気そうな声で生活したいものだ。話をするときも、普段より大きな声を出さないと聞こえにくいことが増えた。マスクのせいで聞こえにくい人たちの不便は一層だと想像できる。表情も読み取りにくい。柔らかな表情で大きな声を発するのは、なかなか難しいことにも気付いた。大きな声を発すると顔も
何となく怒り顔になりがちになったように思う。
 さて、当サークルも派遣活動の機会がほとんどない状況であった。その中でもモチベーションが下がらないようにと考え、定例会に力を入れてきた。しかし、大切な定例会も数ヶ月は中止にせざるを得なかった。この先どうなっていくのだろうかと不安な思いもよぎった。派遣に出ないということは意欲がそがれ沈滞ムードに覆われ研鑽を積もうという気持ちが低下。それでも今年度は要約筆記奉仕員養成が開催され大きな励みとなった。昨年度はコロナ感染症の心配から講座開催を見送っていた。受講申込が4名と聞いた時には嬉しい驚きであった。大変な中を受講してくださる人がいるんだと。全員本業を持ちながらの受講だったが皆勤賞だった。少し若い世代の人たちで「要約筆記の勉強はとても新鮮です」と話され、新しい風を受けたようでスタッフ全員が嬉しさとやりがいを感じた。「日本語についても知っているようで知らないことが多く奥が深い」「直接、要約筆記の利用者から体験談を聴く機会があり心を揺さぶられた」などの感想も。受講したことで意思疎通に困っている人たちだけでなく全ての障がい者に想いを馳せていたようだ。積極的な姿勢で学んでいる受講生たちに私たちも背筋が伸びる思いがした。サークルメンバーも再履修できることで新たな発見もあった様子。修了後は早速、当サークルに入会し仲間に入ってもらった。4月からはこの仲間も参加しての定例会となる。
超高齢化の社会状況の中で玉野市民の中にも
意思疎通に困難さを抱えた難聴者が存在するはず。一層の啓発活動に励み要約筆記という社会資源を知っていただき活用してほしいと願ってる。