『新しい年度が始まりました』

たまの要約筆記サークル 赤代洋江

 みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。
 何年もコロナ、コロナで過ごしてきました。昨年の会報原稿を読み返すと閉塞感がプンプンの内容です。でも、一年は過ぎていきました。周りでは感染した人、濃厚接触者と認定され自宅待機を余儀なくされた人もちらほら聞こえてきました。最初のころに感染が報じられた人が気の毒な状態に陥れられたことを思い出します。コロナ感染症がどのようなものかもわからない状態で疑心暗鬼になり患者のことを慮ることも出来ない状態に陥った人が当事者の方の自宅に張り紙をしたり、中傷する言葉で傷つけたり。さすがに今はそのようなことをする人はいないでしょうが。正しく物事を理解せず、理解できないまま攻撃に回る人々はどこにでもいるものですが、付和雷同だけはしないでおこうと心に決めた出来事でした。
 さて、要約筆記も活動の場が少しずつ広がっています。国の方針によりコロナへの規制が緩和され、聴覚障害者の皆さんの活動の場も広がり、要約筆記者としての支援の場も増えることだと思っています。
 いつもお話させていますが、玉野市には手話言語条例はありますが難聴者協会はありません。手話を使ってのコミュニケーシン場面は盛んですが要約筆記は、なかなか出番がありません。しかし、昨年、要約筆記を初めて利用してくださる人からの派遣依頼がありました。手話を読み取っていたら話の内容をメモすることができないので要約筆記を使ってくれるようになったそうです。過去にも要約筆記の利用経験がある様子でした。初対面なので「初めまして」の挨拶からです。利用の際には、ご自分のニーズをきちんと伝えていただき、こちらも期待にそえるよう要約筆記をしていきました。終了後、ありがとうの言葉をいただいた時にはうまく支援ができたことにホッとすることができました。要約筆記者として当然のことをしたまででしたが、次も期待にそえるにしようという気持ちが湧き前向きになり、さらに研鑽を積もうと思いました。利用者と要約筆記者というお互いの立場を理解しながら節度を持っての認識がうまく一致し要約筆記者としての達成感を感じる現場となりました。「次の時もお願いしますよ」という言葉をかけていただけるとお役に立ててよかったことを実感しました。その言
葉が技術の向上を目指そうと思う原動力となります。学校の成績と同じで努力の成果が目に見えるものではありませんがサークル内では勉強会にも熱心に取り組み、仲間同士での研鑽も積んでいます。福祉サービスの担い手として役に立つ要約筆記者だと思っていただけるよう頑張って精進していこうと思っています。さて、話は変わりますがスマホの自動翻訳アプリをダウンロードしてみました。私は英語はさっぱりですがAI対応のアプリでは私の会話が一秒で英文表示され英語の音声が出ます。びっくりです。世の中は本当に便利になりました。人間の頭で考えながら進めるよりも瞬時に対応できる事柄が一層増えていくことでしょう。ただし、使う人間がかなり頑張らないと使いこなすことはできないと思いました。今のままでは機械に使われる人になりそうです。私も、もう少し若くて機械に精通していけていたらよかったのにと思いました。要約筆記者と聴覚障害者がにこやかに相対して、お互いの立場に思いを寄せられる関係が築けそうな要約筆記の利用者に今回出会えたおかげでこの活動を仲間と一緒にもう少し続けてみようとの思いが持てました。コロナ禍が落ち着きつつある今、前向きに活動できるよう期待しながら邁進してまいります。