発足30年を迎えて

やかげ要約筆記サークル 岡本 緑

 1980年の岡山市の要約筆記クラブの発足は難聴者の方々に希望の足掛かりを与えました。その後、矢掛でも難聴者の方から要約筆記への強い要望の声が上がり、それを受け止め、行動を起こされたのが先輩の津尾恵子さん。町役場へ働きかけ、健康福祉課による「要約筆記奉仕員養成講座」受講生募集が開始されたのです。岡山市、倉敷市、津山市に続いて4番目、平成5年の発足です。小さな町に、いち早く要約筆記サークルが誕生したことに改めて驚いています。津尾恵子さんを初め、当時、発足に関わった方々が難聴者の強い願いに応えようとするひたむきな思いを、残された資料に目を通しながら感じることができます。
 私が要約筆記に出会ったのは平成23年6月25日に開催された「要約筆記奉仕員養成講座」でした。更に奉仕員応用講座と進む中、「寿大学」など実践の場でも活動していきました。そのような折、要約筆記の世界に「聴覚障害者に対し専門性を持つ要約筆記者であるために本格的な技術、資格を身に着けることが必要である」ということから岡山県としての「補習講習」が始まりました。無遅刻、無欠席で半年間、毎日曜日、矢掛町からきらめきプラザへ丸一日の講義、実習に通いました、自分の健康、家族の協力、共に学ぶ田尻文子さんの存在、会場に集まった同じ目的を持つ仲間たち、担当の講師団の意気込み、第一期生ということで張りつめた空気が漂っていました。「あなたは岡山県要約筆記者養成講座(補習講習)において所定の過程を修了したことを証します。平成25年2月24日」という岡山県知事からの修了証書を受け取りました。そして、続いて岡山県登録のための、登録試験が実施され受験いたしました。結果、晴れて合格し平成25年6月1日『岡山県登録要約筆記者証』を手にしました。
 価値ある資格者証であるためには常に真摯な気持ちで活動しなくてはいけないとの思いを強くし、現在、私は要約筆記者として10年目を迎えました。そして、やかげ要約筆記サークルはこの度、設立30周年となり、記念誌を製作しているところです。これからも聞こえに不自由さを感じる人にとって心強い支援者になろうという思いと同時に要約筆記の大切さをもっと社会の人々にも知って頂けるように啓発活動にも力を入れていきたいと思っています。