「一歩ずつ前へ、コロナ禍での取り組み」

備前要約筆記クラブ 谷原純子

 二年以上、コロナ禍の日々が続いています。人が集まる事や対面で交流することが制約されています。そのため、2021年度は要約筆記団体としての派遣活動が激減しました。そのような中で、できることとしてステップアップ講座の実施と要約筆記の啓発リーフレットの作成に取り組みました。

[ステップアップ講座の実施]
 本来、2021年度は要約筆記奉仕員養成講座を実施する予定でした。しかし、参加申込者が1名だったため申込者の了解を得たうえで中止し2022年度に先送りしました。そして、ステップアップ講座(前4回)に切り替えて取り組みました。講座の内容は日本語学習、テーマ学習、実習の3本立てで、以前から課題ととらえている内容を重点的に取り上げ学習していきました。
 日本語学習では、適切に漢字が使えること、聞きだめをして要約筆記できることの2点を繰り返し学習しました。
 テーマ学習では、要約筆記の目的や要約筆記技術の基礎的基本的内容に立ち返り、実習を伴って積み上げていきました。
 実習は現場に近い音源をもとに、書いて検証する学習に取り組みました。研修はあくまで研修です。やり直しがきかない緊張感や聞いて正しく伝えることの責任感が派遣現場とは違います。しかし、繰り返し取り組むことで以前と比べて必要な内容が「速く、正しく、読みやすく」表出できるようになったとの達成感を得ています。
 課題は全体のボトムアップ。そのために、まず、出席者の確保が必要です。限られたメンバーでの研修に終始したことが残念です。

[リーフレットの作成]
 難聴者理解と要約筆記への関心を高めるために作成しました。内容は「要約筆記とは」「要約筆記の方法」「難聴者への理解を」「要約筆記者の養成講座」「当サークルの活動について」「Q&A」「筆談と要約筆記との違い」「福祉サービスである要約筆記」等について記載しました。今までは講演会などで全体投影による要約筆記をすることが市民への啓発になっていましたがコロナ禍で、できていないのでリーフレットの作成に至りました。
 最後に、2021年度の一番うれしかったことを紹介します。2021年11月に備前市主催の講演会が開催され全体投影による要約筆記を依頼されました。それは参加予定者からの「今回は要約筆記はないのですか」との問い合わせによるものだったとのこと。必要とされていることの喜びや充実感、達成感は何物にも代えがたくモチベーション高揚に大きく役立ちました。