9月号 巻頭言 大雨特別警報に思う

大雨特別警報に思う

 

岡山県聴覚障害者センター所長

中井 智子

 

職場のある通称「きらめきプラザ」の駐車場で、朝夕、県外ナンバーの自動車を見かけるようになった。よく見ると「わ」ナンバーの自動車である。

西日本豪雨に見舞われた地の一つである岡山県。これまでに、経験したことのない雨による大きな被害。その復旧の支援に、全国各地から駆けつけてくださった現れの一つが、県外ナンバーの自動車であろう。皆様方の支援に感謝の言葉しかない。

大雨特別警報がでたとき、私はどうしただろうか。大雨がもたらす被害に備えるよう報道はなされていた。避難準備、避難勧告に続き、避難指示が出されたとき、初めて、いざというときのために、懐中電灯、水、食べ物等の準備をした。

それでも、不安に思う反面、大丈夫!という、妙な確信が自分の中にあった。その次にとった自分の行動は、玄関を開け、近所の人の動きを見、静まりかえった地域の様子に、これまた妙な安心感を抱き、二階への避難に止まった。一夜明けてみると、西日本各地の被害状況がテレビ等を通じて飛び込んできた。最後に止まるのがJRと思っていたが、県内全線においての運転見合わせが報じられ、被害の深刻さを改めて感じた。

センター利用者の方に被害はなかっただろうかと、職員共々心配しながら、情報収集を行った。床上浸水、床下浸水と大変な状況ではあったものの、皆さん無事であったことに一安心した。

岡山県聴覚障害者福祉協会、岡山県難聴者協会、岡山県手話通訳問題研究会、岡山県要約筆記団体連絡会、当センターの五団体で構成している岡山県災害対策本部会議を開催し、情報交換を行い、これからの対応について話し合った。

防災を中心にした対策本部会議の性格を確認し、改めて、①災害時の情報収集は各団体が連携し組織的に行うこと、②防災情報等の学習をし、意識を高めること、③「おかやま防災情報メール」の登録を推奨することなどを話し合った。③については、早速「岡山難聴」八月号に掲載されていた。

聴覚障害者、健聴者ともに緊急時にとる行動は同じである。しかし、聞こえないことによる情報の遅れや漏れがあってはならないと改めて思う。