2020年9月号巻頭言

難聴者協会の皆様へ 

岡山県身体障害者福祉連合会 会長 藤田勉 

 最近、眼鏡屋さんのほとんどが、補聴器を取り扱いだし防音の聴力測定室を設置し、補聴器販売に力を入れています。何故でしょう?高齢化社会になって日本では日本男子の平均年齢は81.7才、女子は87才以上。身体障害者の高齢化率は高く、昔から言われているように「年をとれば目は薄くなる、耳は遠くなる。」まさに、国民の大多数は高齢化し耳が遠い人が増えてきたのです。今から35、6年前、私もそれなりの年になり遠視が出てきだし、メガネ屋さんに行くことが多くなりました。ちなみに、大きな全国チェーンの眼鏡屋さんでヨーロッパの有名都市にも出店しているお洒落な眼鏡店ですが、仲良くなった店長に「これからは補聴器の時代だよ。取り扱ってみたら」と勧めましたが、全然関心を示さず!20年くらい前、こんな経験をしたことが有ります。津山で行われた聴覚障害者中心の巡回相談の会場、受付で問診している直ぐ近くで、専門の補聴器屋さんが数店デスクを構えていましたが、お互いにペチャクチャ雑談が止まらない。難聴者は周りが騒がしいと、より聞こえづらくなる。県や市の担当者は怒鳴るように声を張り上げて話している。ついに、県難聴協会の臨時会長である私の堪忍袋の?緒が切れて「君たちは何者なら?何をしに来たのか?」「補聴器を扱っています。」「つまり補聴器を売りに来たんだね。」「難聴者のイロハが分かっていない!」当時の眼鏡屋さんは売って六いくらが勝負。後々の調整等は店のおまけで特別なサービスくらいに思っていたようです。ちなみに、日本の自動車業界は売り上げ台数を競うより、後々のメンテナンスに主眼を置き変えてきている。眼鏡屋さんは聴力測定用の防音室を置き、取り扱い技術者を配置して機能・技術面では勉強しているが、難聴者の生活環境、難聴者の心理状態については分かっていない人が多い。よって、難聴協会も補聴器業者と連絡を密にし、難聴当事者としてのレクチャーを行うのが肝要ではないかと思います。

 昔、青山静先生と外国の補聴器会社(オーティコン)を訪問した時、ヒアリングエイドに関する新しい考え方には、目から鱗が落ちる思いでした。