2019年8月号巻頭言 共生社会を作るために

2019年8月号巻頭言 共生社会を作るために

「共生社会を作るために」(障害の社会モデル)
  
   岡山県身体障害者福祉連合会 会長 藤田 勉

 障害者は、可哀そうで気の毒だから「保護」しなければならない、から始まって、障害者の皆さん頑張ってください、という「支援」に変わり、そして、私達障害者は自分達で頑張ろうという「自立」の目標を掲げてきましたが、今は共に社会の一員として、一緒に楽しく暮らしましょうの共生の社会に向かっています。「共生社会」について厚生労働省は次のように述べています。
「障害が有る無しに関わらず、全ての人がお互いの人権を大切にし、その人格を尊重し、支え合い生き生きと人生を送ることのできる社会、すなわち、共生社会を作っていかなければならない。」障害者が受けてきた差別・虐待・隔離・暴力・特別視等は共生の社会では、あってはならないことです。
この世の中には色んな「バリア」という壁がある。だから社会参加が出来にくい。これら社会にあるバリアを取り除くのは社会の責任であることを理解し、積極的に具体的に行動して、社会全体にバリアフリーの理念を広めて行くことが重要としています。
「心のバリアフリー」とは人間各々の特性や考え方があることを理解し、お互いに分り合うために、話し合い・支え合い・そしてそれを継続していくことです。このプロセスを「障害の社会モデル」と言います。私達障害者は「障害の社会モデル」を理解し実行して行くことが大切であります。
そのためには障害者への差別を無くするようにしなければなりません。平成十八年国連で採択された「障害者権利条約」に基づき平成二十八年四月一日に制定された「障害者差別解消法」を梃子にして、現に今でも存在する差別という社会事象を取り払って行かねばなりません。「差別してはいけません。禁止です。」でなく「障害者差別解消法」は差別そのものを無くして行くと言う考え方です。
ここで差別について少し触れて見ましょう。差別を生む根源は、「相手または対象者を社会的弱者として見下す・馬鹿にする」そうする時に、その心は差別用語として表れてきます。ですから、障害者の人格を尊重して、見下したり、馬鹿にし
ないようにすれば差別用語を発することはありません。
 私が昔むかしフランスのパリに行った時、パリの名所「アンヴァリッド」に行きました。アンヴァリッド:国立廃兵院、かのナポレオンが作ったものです。アンヴァリッドとは聞こえは良いが、これを翻訳するとひどい差別用語です。しかし、パリっ子たちは堂々と胸を張って使っていました。見下げる雰囲気は全然ありませんでした。
障害は人の持っている特性である、欠点ではない。人間には違いがあって、その人らしさがあってこそ、人間らしい。違いを乗り越えてこそ、人権の尊重である。
「難聴」という特性が社会生活に及ぼす影響は何と言ってもコミュニケーションのバリアです。正確な情報が伝わらないので、自信が無くなる。社会的に孤立して認知症の元となる。では、どうしたら良いのか。一般社会に聴覚障害者を理解し認識しろ、と声を大にして叫ぶ前に自分の聴覚障害を認識し、その障害を受容して「私は聴覚障害者だ」と世間に知らしめる事から始めましょう。そこから「障害の社会モデル」がスタートしていくのです。