新年のごあいさつ

一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長  新谷 友良
 明けましておめでとうございます、3年来の新型コロナウイルスの感染で加盟協会の皆さまにはご苦労が続く毎日のなか、様々な面で全難聴の活動を支えていただき感謝申し上げます。とくに、10月に大分市で開催しました「全国中途失聴者・難聴者福祉大会inおんせん県・おおいた」には多くの方に参加いただき3年ぶりに皆さまと交流の機会を持てましたことに改めてお礼申し上げます。
 昨年障害分野では、5月に「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が成立しました。この法律は、基本理念として①情報取得・意思疎通手段の個別性の尊重、②情報の地域格差の解消、③情報の平等性・同時性の確保、④デジタルリテラシーの涵養の4点を掲げています。また、8月には障害者権利条約の履行に関する日本政府報告への国連障害者権利委員会の審査がスイス・ジュネーブで実施され、全難聴は日本障害フォーラムの対日審査傍聴団に参加し、国際部員3名が精力的なロビー活動を現地で行いました。その結果、障害者権利委員会の総括所見では「障害者資格・認定制度を含め、障害に関する医学モデルの要素を排除するために、法律および規則を見直すこと」が勧告されております。また一昨年改正されました障害者差別解消法に伴う基本方針の改正が現在障害者政策委員会で議論されており、全難聴よりは宮本副理事長が専門委員としてこの議論に参加、事業者の合理配慮義務の明確化などの論点に積極的な発言を続けております。
 このように、わたしたちを取り巻く環境は、全難聴の進めている運動を大きく後押ししています。とくに、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の基本理念や、障害者権利委員会の総括所見は、わたしたちの進めてきた情報アクセシビリティの主張、デシベルダウン運動をさらに進める大きな力と思われます。
 新型コロナウイルスの感染継続、国際的な政治の緊張の増大、物価の上昇など私たちの日常生活には厳しさが増していますが、わたしたち中途失聴・難聴者は聞こえの困難に正面から向かい合った声を上げ続けることが何より大切と思います。今年一年皆さまと力を合わせた運動がより一層前進することを期待して、また皆さまのご多幸・ご健康をお祈りして、全難聴よりの新年のごあいさつとさせていただきます。