年度の当初にあたって

2022年4月号巻頭言

公益財団法人 岡山県難聴者協会 会長 森 俊己

 百花に先駆けて梅の花が咲き、沈丁花など春の花が咲き誇ろうとしています。この号が出るころには桜が咲いている事でしょう。古来から日本人は桜を愛でてきました。私も桜のその潔さを美しいと思います。今はコロナ禍で大勢の方と花見には行けませんが、家族と近場で花を楽しみたいと思っています。日本のエーゲ海を借景とした花を、頭を空っぽにして何も考えない、呆然とただそこに居る幸せを心待ちにしています。
 引用ですが、桜のつぼみの元になる花芽は前年の夏には用意されているそうです。ある花守は「花を咲かせるにはたくさんのエネルギーを必要とします。とても力のいる事なんです」と。
 長い時間をかけて力を蓄えた賜物、何事も準備を怠らず、蓄えた力を発揮することで花開くのだと桜が教えてくれています。難があるから「有難い」とも言うそうです。
 私は思うのです。人が見て社会が見て、「つまらない」事であっても、(イヤ、つまらないから良いのですよね。詰まってしまったら大変です)その人の歩んでいく道の先に、花が咲いているのではないでしょうか。
聞こえない、聞こえにくい事で多くの困難が待ち受けているでしょうが、気持ちを倒さずトボトボでも、前を向いてほしいと願うのです。

 前置きが長くなりましたが、役員体制が一新して、試行錯誤を繰り返しながらの今日です。会員の皆様にはご迷惑をおかけしている面もあるかと気になっています。またコロナ感染の対策は、難聴者にとって聞こえの自助努力をあざ笑うかのようで、生きづらい日々が続きますが、このような時こそ、会って交流を、気持ちを通わせたいという想いが出てきます。今年こそは是非、顔と顔を会わせる日が来るようにと期待しているところです。
この会は、難聴の皆さんが主役です。そのためには、どんな些細な事でも構いませんので、事務局まで声を寄せて下さい。ひとり一人の声が集まってこその力であり、居場所としての協会でありたいと願う次第です。