岡山難聴2017年2月号巻頭言

新年のご挨拶

公益社団法人岡山県難聴者協会

会長 妹尾 克己

 皆様のご協力のお蔭で当協会は公益法人に移行し3年目を迎えます。公益法人移行に当たって尽力くださった川場充前会長が事務局長を引き受けてくださり、協会の運営はうまくいっております。しかし課題もたくさんあります。一つは会員数の減少です。また行事に参加してくれる人も少なくなっていると感じます。これはどこの協会にも共通して言えることではありますが、難しい問題です。

 昨年4月から障害者差別解消法が施行されました。法整備は進みましたが、この法律が実のあるものとなるには、当事者の積極的な働きかけが必要です。私達難聴者の障害は聞こえにくいことであり、コミュニケーションの障害です。その障害の性質のゆえに、こちらから聞こえの状態を周囲に、社会に伝えていかないと、なかなか気づいてはもらえません。理解を拡げる手段の一つが「耳マーク」です。これは聞こえないがゆえに困っていることを伝え、筆談などの配慮をお願いしていくものです。ぜひ会員の皆様には耳マークの普及に携わっていただきたいと思います。

 もう一つ協会として取り組みたいものに、難聴者の生計の安定と社会参加に不可欠な就労支援の問題があります。これも大事な事柄ですが、まだどのような方法で取り組んでいくか明確な見通しが立っていない状況です。協会単独では難しく、各方面の協力と連携が不可欠と思います。聞こえの不自由さを配慮していただければ、難聴者は普通に働ける可能性を十分にもっています。高齢化社会の進展で難聴者は今後ますます増えていくことは確実ですし、高齢になっても働きたい人も増えていくでしょう。このような社会の現実にどう対応していくのかという問題への先取り的な取り組みでもあり、社会に大きな価値を届けられるような試みになるのではと思います。

 私達には手を差し伸べてくれる人たちがいることも忘れてはなりません。要約筆記者の皆さんは、難聴者の権利擁護としての自らの役割を果たすべく頑張ってくれています。手を携えて、皆が暮らしやすい安全・安心な社会を作り上げるよう進んでいきたいと願っています。