コロナフレイルのこと、ワクチン接種を

2021年6月号巻頭言
コロナフレイルのこと、ワクチン接種を
   公益社団法人岡山県難聴者協会 会長 妹尾克己

 岡山県では緊急事態宣言が6月20日まで延期された。色々な行事が延期・中止され、自粛生活も長くなり、多くの人々同様に難聴者にとっても困難な生活を強いられる状況が続いている。自粛生活が長引き体を動かす時間が減ると、体力の衰えによるフレイルになりやすいという話を聞いて、そのことについて以前書きました。それとは別に、心理的なフレイルというものがあり、これが増えているという話を聞きました。
 どういうものかというと、自粛生活でコミュニケーションの機会が減り、会話が少なくなると、精神的に変調をきたす人が増えているという。引き籠りや鬱症状がでて、負のスパイラルから抜け出せなくなるとのこと。私たち難聴者にとっては、もっと注意しなければならないことと思います。一方、自粛生活の中で趣味を広げたり、充実した時間を過ごしている人もいるようです。ある人は、DIY日曜大工に取り組むようになって、家の修繕や小物の制作に勤しんでいるという。こういうプラスの方向に気持ちを切り替えて過ごすことが大切かと思います。
 先日のNHKのクローズアップ現代で、ノーベル賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長山中伸弥教授と新型コロナウイルスワクチン開発に貢献したカタリン・カリコ博士とのリモート対談を放映していた。ワクチンは新しい発想のもとで苦心して作られたもので、ウイルスの変異に対しても、短期間で対応できるという。明るいニュースで、希望が持てると感じました。日本で接種されるのは、このmRNAワクチンで、これがパンデミックの形勢を大逆転させ、私たちは以前に近い生活に戻れるという。ワクチンの有効性は絶大で、パンデミックに対する切り札であるとのこと。副作用も少しあるそうですが、有効性ははるかに大きく、経済的抑制や社会の制限を取り除ける大きな利点があります。皆さんぜひワクチンを接種しましょう。
 カリコ博士の印象的な言葉がありました。「どうにもならない事柄に時間を割くのではなく、自分の出来ることに集中する。他人を見ないで自分は何ができるかに立ち返る」「他人や環境は変えられない。自分の今すべきことに集中する」 科学の発展は、過去の先人たちの努力の上にあり、自分の研究・実験データを参考に、他の誰かが科学を発展させることにつながるので、それが大事です」と。