「令和5年度の出発にあたって」

公益社団法人 岡山県難聴者協会 会長  森 俊己

 令和3年の総会における役員改選によって役員となった一同は、試行錯誤を繰り返しながら今日に至っております。会員の皆様には、見えないところでご迷惑をおかけしていると思います。日頃のご協力に感謝するとともに、新たな年度に入るにあたり、会の基本方針を表明します。
 岡山県難聴者協会は、半世紀を越えた歴史の中で、多くの先達のご苦労があって今日を迎えています。初代・松本翁をはじめとする、道なき道を切り開いてこられた代々の活動家を知る者として、感謝の念でいっぱいです。この遺産を受け継ぎながら、難聴福祉の向上に努めていきたいと考えています。
  
1.難聴者による難聴者のための協会
 当協会は、難聴者・中途失聴者・高齢難聴者等(以下、「難聴者」)の声を聞きながら、難聴者が主体となって運営し、難聴者の「居場所」としての存在を深めると共に、将来にわたって存続可能な組織として強化を図ることが急がれます。そのためには、財政基盤を豊かにすることが必要であり、何よりも隠れたニーズを持ちつつ県下に存在する潜在的難聴者の声も反映するため、会員を増やしていくことが不可欠です。

2.難聴は見えない障害―社会に向けての啓発
 「聞こえない」という障害は、何に困っているのか周囲から見えにくい上に、難聴の場合は体験してもらうことも難しいため、結果として障害理解が進まず、社会的な対応は後手後手にまわっています。また、コミュニケーションの基盤が音声言語であるために手話言語ほどのアピール力がなく、中途半端な立ち位置を余儀なくされています。難聴福祉の遅れを取り戻すべく、まずは役員、そして会員からと、できるところから声をあげていく必要があります。

3.支援団体との関係の強化
 コミュニケーション支援を託す要約筆記団体との関係を強化し、相互に提案し合う中で、より良い支援の在り方を考えていきたいと考えます。特にIT機器・遠隔情報保障の分野における情報格差の是正は喫緊の課題と捉えています。また、耳鼻科の先生方や補聴器関連の皆様との連携は、難聴福祉の進展に大きな力となっています。支援団体との関係をより強化し、難聴福祉の推進に働きかけたいと思います。さらに当事者団体として、社会に寄与できるよう努めていきます。