「難聴者と共に歩む要約筆記団体」

岡山県要約筆記団体連絡会 会長 佐藤 聡子

 2020年1月に発生した新型コロナウイルス感染症の大流行により、当初、新しい生活様式が示され、行動自粛、ステイホームという方針のもと、人と会うことさえ慎重にならざるを得ない日常が続きました。回避できるイベントの開催は控えるようにとの方針も示され、要約筆記付きの講演会や研修会等は中止に追い込まれる中、私たち要約筆記者の活動が利用されにくくなってしまうのではないかと大きな危機感を持ちました。そのような中、早速に取り組んだのは遠隔での情報保障の実現でした。幸いにも早い時期に可能となり、利用者のニーズに応えられています。又、マスク生活の中で難聴者が気軽に「話されていることを書いてください」とお願いできる筆談用具を作り、意思疎通支援の一助になればと取り組んでいます。この筆談用具は新聞報道にも取り上げて頂いた影響から県内各地の多くの方々からお問い合わせをいただいています。
 岡山県要約筆記団体連絡会(県要連)は1985年に岡山市、倉敷市、津山市の3市の地域サークルで結成され、その後、市町村に次々と地域サークルが誕生して県要連に加わり、現在に至っています。それぞれの市町村における意思疎通支援事業の担い手として登録試験に合格した要約筆記者登録者証を持つ人たちと、養成講座の修了証を持つ協働活動やボランティア活動に携わる要約筆記奉仕員の人たちの集合体です。両者を合わせると200名を超える大きな団体となっています。
 2011年には厚労省から「専門性の高い要約筆記者」の養成カリキュラムが示され、当県でも、毎年、養成事業に取り組んでくださっています。新カリキュラムのもとで学び、市町村の意思疎通支援者としての志を持ち、自己研鑽に努める一方、地域サークルにおいても集団として共に学び合い、その専門性に磨きをかけています。すべての人々が当たり前に人として尊重され、豊かに生きられる社会を構築するため、要約筆記という活動の担い手集団として携わっていきたいと願っています。